美術館の監視員って楽そうだよね? 私が美大生時代に実際に監視員をしていた時の苦悩話

「美術館の監視員って楽そうだよね?」
ある日、友人と美術館に行った際に放たれた一言。

「座ってるだけだから絶対楽でしょ。」

そして私がすかさず「そんなことないよ、思ってるより大変な仕事だよ。」と友人にいかに大変かを語ることに、、

とまぁ、偉そうに友人に「大変だよ」と言っている私ですが、かく言う私もこの友人と全く同じ理由で美大生の時にこの美術館の監視員のバイトをしていたわけなのですが。

ここからは少し美大の時のお話になります。

目次

美大生は時間と金がない

世間一般の大学生といえば時間があり、また時間もあるからバイトも多く入れられてお金も貯まり、自分の好きなことにそのお金を使うことができる。(一人暮らしだとお金ない人もいるかもしれませんが、、、)まさに、人生で最も楽しい時期のひとつと言えると思います。

ですが、美大生は「絵描いてるだけだから楽そうで良いよね〜」とか言われがちですが、そんなことはありません。勉強+作品制作という二足の草鞋を履いています。そのため、まず英語や国語などの学科の授業、そして美術の授業があるわけですが、この美術も専攻ごとに細かく油絵やらデザインやら日本画などあり各授業ごとに課題が出されます。

授業以外の時間のほとんどは課題の作品制作に充てられます。もちろん、作品の提出期限があるのでそこまでに完成させる必要があるのですが、他の授業の作品作りと平行して制作していかないといけないので、課題の締め切りに追われながら夜通し大学にいることも多々あります。

そして今度は、その作品を制作するためのお金が必要になってくるわけです。制作する物にもよりますが、私はプロダクト、またはインダストリアルデザインと呼ばれる主に工業製品のデザイン専攻でしたので椅子みたいな立体作品を作ることが多く、毎日のようにホームセンターや木材を取り扱っているお店に足を運んでいかに安く材料を仕入れるかに頭を悩まされていました。

となってくると、私の頭には

「隙間時間で楽に稼ぎたい」という思いが。

当時は、今のようにアプリで簡単に隙間時間にバイトできるような仕事はほとんどなかったので先輩や友人にオススメの「楽なバイト」を聞きまくりました。

ただ椅子に座っているだけの楽な仕事

「あるよ、美術館の監視員とか楽だよ。」

多くの美大にはキャンパス内に美術館を持っているところが多いのですが、先輩によると大学の美術館の監視員のバイトが人気ですぐに埋まってしまうんだとか。私も大学に美術館があるのは知っていたのですが、そこでバイトの募集をしていることは初耳でした。

話を聞くと、そのバイトは紹介制でなぜか図書館のある人にその話をしないといけないとのこと。RPGばりのイベント発生条件の難易度に驚きました笑。

先輩の「ただ椅子に座ってるだけだから大丈夫だよ。」という甘い言葉に二つ返事をした私でしたが、本当に座っているだけでお金がもらえるのか?そんな楽な仕事がこの世に存在するのかという不安がありましたが色々考えていてもしょうがないので、とりあえず「やってみてから考えよ〜」とその足で図書館にいきました。

美術館の監視員とはどんな仕事なのか?

さて、前置きが長くなってしまいましたがここからが本題の監視員について。監視員とは具体的にどういった仕事をするのかを紹介していきたいと思います。

作品に触らないようにに監視する

文字通り、来館しているお客さんが作品に触れたり他のお客さんの迷惑にならないように監視をすることが一番の仕事です。これは、正直そこまでマナーの悪いお客さんはいなかったのでそんなに注意することもありませんでした。なのでなんとなく「お客さんがきてるな〜」という感じで部屋の隅に座り、作品に触れていないかなどの動きを観察します。あまり凝視すると、それはそれで来ている方も集中して作品を鑑賞することができないので鑑賞の邪魔にならないようにあまり見過ぎないように観察するように努めます。

これが意外に難しい。。

作品の説明をする

一般的な美術館ですと監視員の他に「学芸員」がいてその人たちが主に作品の説明をしてくれるのですが、美大の美術館だと監視員も美大生なのである程度の美術の知識や作品の説明ができるようにとのことから監視員が説明することも多々ありました。

なので会期中の展示作品は一通り観てから作品のコンセプトや使われている材料や技法などは覚えるようにしておく必要があり、たまにされる質問にもスマートに答えられると「おっ!この子、仕事できるわね。。」と次回のシフトの希望も通りやすくなるのです。

美術館の監視員の苦悩

座りすぎで腰が痛い

部屋の隅で長時間椅子に座り来館しているお客さんを観察するわけですので、当然腰が痛くなります。また、勤務中はトイレに行けないので(緊急時は仕方ないですが)いかに腰に負担をかけずに長時間椅子に座れるかがポイントです。私はたまに動きが小さめのストレッチを挟んで凌いでいました。

睡魔に襲われる

美術館といえば静かで少し薄暗い。作品の展示によっては心地よいBGMがかかっている。

あれ、「これ熟睡する時の条件整ってない?」

ましてや、昼食後なんかにシフトを入れた日には、恐ろしい程の睡魔との戦いが待っているわけです。特に私は授業中も居眠りしてしまうほど睡魔には弱いので本当に辛かったです。。

時間が経つのが遅い

誰かが時間を止めているのではないか?まさかDIOの仕業か?と疑いたくなるほど時間が進まない。3時間のバイトが体感だと半日ぐらいの感じです、本当にしんどい。

精神的に疲れる

ここまでで、「全然楽な仕事だよ!」と思われる方も中にはいるかもしれませんが、これです。精神的に疲れる。

正直、肉体的には椅子の座りすぎで腰が痛くなるくらいしかデメリットはありませんが、精神面の疲労が凄まじいです。あまりに、何も起こらなすぎて座って人を観察するか瞑想しているしかすることがないので本当に苦行です。

美術館の監視員は大変な仕事だった

とまぁ、こんな感じで友達に話すと
「絶対無理だわ、私だったら30分ももたないな。」と監視員の苦悩がわかってもらえたみたいで、美術館を出る頃には監視員の人に敬意すら払っていました笑。

まとめ

今回は、美術館の監視員という仕事が思っているより大変な仕事だよ。ということを紹介しました。正直いうと私が今までバイトをして「大変だったバイトランキング」上位3位に入るぐらいの仕事だと思っています。ですが、監視員になると美術館の作品もタダで鑑賞することが出来るので美術好きには嬉しい特典かもしれません。

今度、美術館に行くことがありましたら監視員の方にも少しでいいので目を向けてみてください。もしかしたらあなたと目が合うかもしれませんが、それはその人が監視員という仕事をしっかりと全うしている証拠でもあり、その人たちがいるから快適に作品を鑑賞できているんだということを感じてもらえれば嬉しいです。

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▲こちらの本は美術館の監視員のお話が4コマ漫画になっていてとても読みやすいので気になる方は是非一度読んでみてください。

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