今回は念願だったレトロ印刷さんでポスターを印刷したので紹介していきます。私のように印刷好きな方は特にオススメです!
印刷の魅力に取り憑かれる
以前紹介したデザインの引き出しという雑誌を熟読し、こんなにも味のある素敵な印刷所が数多くあるのに、私は仕事では一度も利用出来なかったことをとても悔やんでいました。
基本的に仕事の場合ですといかに安く、早く、綺麗に印刷できるかが求めらます。そうなってくると今主流である版がいらないオンデマンドや、いわゆるデジタル印刷を使うことがほとんどとなってきます。ただデザイナー視点で言わせてもらうと、印刷の醍醐味は写真のような綺麗さだけではないと思っています。
インクの滲みや、かすれこそがデザインした作品にさらなる魅力を与えてくれます。ですが実際には仕事なので、出来上がったリーフレットや販促物に版ズレやインクのかすれがあった場合は即、刷り直しを命じられてしまいます。
仕事で出来ないのであれば、趣味として個人で利用すればいいのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、こういった印刷所は小ロットが100枚〜500枚からと個人で利用するには、なかなかハードルが高いところが多いです。ただ私も、どうにかこういう味のある印刷とがしたいなぁと、日々色々調べているなかで、ある印刷所をみつけました。
それがこちらのレトロ印刷さん。
私が求めていた理想の印刷
まずホームページを見て「これだよ!私が求めてたやつ!」とそこには私の印刷でやりたかった全てが詰まっていました。
印刷と遊ぶ。 印刷で遊ぶ。
レトロ印刷の特徴
レトロ印刷さんのHPから引用していますので詳しく読みたい方はこちらからそうぞ。
ここでは抜粋して紹介していきます。
デジタル孔版印刷機(リソグラフ)
孔版については以前、そもそも版画ってなに?版画の種類や特徴を紹介!の記事で少し触れたのですが、いわゆるシルクスクリーンと同じ原理で印刷しています。シルクスクリーンとは版に穴を開け、そこからインクをローラーなどで押し出し、紙に刷り込む方法です。そのため、印刷の魅力でもある版ズレや滲みや、かすれを実現することが出来るのです。
混色も楽しめる!
デジタルで印刷した場合、入稿時と全く同じイメージで印刷されます。そのため、偶発的な混色ができることはありません。
ですが、今回は孔版という版を重ねて色を乗っけていくので当然下の色と上の色が重なる部分は混色されます。なのでうっかり赤色の上に緑を置いてしまうと補色なので黒っぽくなってしまいます。
私は大学の時に木版画の授業を取っていたので、木版画は凸版ですが色を重ねていく原理は孔版と同じなので色の重なり方は知っているので特に難しくはありませんでしたが、これが初めてという方は色を重ねた時にどういう風に混色されるのかを入稿の際にレトロ印刷さんに聞いてみることをオススメします。混色は奥が深くやったことがないと高確率で失敗しやすいです。
紙の種類が豊富
せっかく孔版で印刷するのなら普段の印刷では味わえない、インクの滲みやかすれを楽しみたいですよね。
綺麗に印刷できる写真紙やミラーコート紙に印刷するのではなく、あえて「わら半紙」などの薄い紙に印刷することでインクの滲み、かすれがより顕著に表現されます。
私も今回ポスターを注文したのですが、ポスターに適した厚紙ではなくあえて、薄い「わら半紙」で注文しました。またこのくすんだ感じの色味が最高です。
最小ロット10枚から!
さてさて、このレトロ印刷さんが私の理想としている最高の印刷所だと分かったのですが、今まで幾度と諦めてきた最難関である最小ロット数。
「どうせオマエさんも100枚なんだろ。。分かってるよ、見るだけで注文できないんだろ。。」と思っていたのですが、
なんと10枚から!
「えっっ、、うそ、、10枚・・」
「即注文させてい頂きます。。」
こうして私はついに夢を叶えることができました。
孔版でポスターを刷ってみる
とりあえず、手始めになんだかオシャレなポスターを刷ってみたいなと思い、うちの愛猫のポスターを制作することに。
おやつとの交換条件で本人に写真の使用許可をとり、早速ポスターを制作していきます。
▲こちらが制作したポスターです。猫の名前がノアなのでオシャレに英語でロゴっぽくしてみました。
今回は印刷のかすれ等が分かりやすいように猫の部分はあえてハーフトーンの大きさを色々ミックスしたのとカラー部分も下の猫の写真の黒色が透けそうなイエローを選択。
正直どこまで下の黒が出るのか分からないのでそこはお任せです。
入稿形式はフォトショやイラレ、PDFやJPGも対応。なんとなんと、手書きも郵送すれば印刷してくれます!こういった専用の印刷所はイラレかフォトショでないと対応してくれない所が多数なので、専用ソフトでの制作環境がない方や私は手描き派なんです!という方にも対応しているのが素晴らしいなと思いました。私も手書きでそのうち入稿したいな。。
注文の仕方
注文は好きなサイズや紙質、インクなどを選び入稿するだけです。
注文時の注意点
通常のデジタル印刷の場合ですと、そのままレイヤーを一枚に結合してCMYKで300dpiでといったいわゆる印刷形式のデータで入稿するのですが、今回は孔版という版を重ねて印刷します。
そのため、写真部分の黒色の版、黄色の版と版の色ごとにデータを作る必要があります。しかも黄色、黒と色分けして入稿するのではなく全てグレースーケールで作り入稿時に色と版の重なる順番の指示をし、完成画像と一緒に送付します。
ここが通常の入稿とは少し異なってくるので注意が必要です。
完成!
そしてなんと出来上がりがこちらです。
黄色の発色がすごい綺麗です。。この黄色の部分は手で触ると指にインクがつきますのでなるべく触らないように扱います。
黄色と写真が重なっている部分も良い感じです!
入稿時に少し心配だった写真のハーフトーンの部分も潰れることなく綺麗に印刷されています。
出来上がりをうちの姫様に見せたところ、梱包していた段ボールに夢中でそれどころではありませんでした。
同梱されたDMも可愛い
商品を注文するとよく同梱されているDM。普段だと、すぐに捨ててしまうのですが、見てくださいこの可愛いDM達を!これはもう全部保存です。
様々なインクや紙の紹介を交えたDMの数々。「これ可愛い。こんな印刷もできるんだ!」と相手の思惑通りに私の心は動かされぱなしでした笑。
特にこれなんか写真なのに孔版だとこんな感じになるんんだ!とワクワクが止まらないです。
まとめ
出来上がったポスターは額に入れて飾ります。
今回の孔版でポスターを作ってみて、印刷って本当に奥が深いなと改めてインクの種類や組み合わせ、紙質の違いによる作品の出来上がりの表情の違いに驚かされました。
普段はweb上でデザインやイラストも完結してしまうことがほとんどでしたが、まさかの10枚からという小ロットから注文が出来るので、頻繁に孔版を楽しむことが出来ます。これでまた新たな表現の幅が増えて、楽しくなってきました笑。
家でもシルクスクリーンはできなくはないのですが、インクや版を用意したりと色々と初期費用や手間がかかるのでパソコンで作ってプロに印刷してもらえるならその方が楽かなと思いました。紙の他にもTシャツやトートバックといったまさにザ・シルクスクリーンな作品も作れますのでこちらも利用してみたいと思います。