ふと思ったんだけど、この作品とかって周りの縁の色に比べて刷った部分だけ少し黄色い感じがするんだけど、これってどうやってるの?
それは雁皮刷りだよ。
がんぴずり。。へぇー、何それ?
雁皮(がんぴ)刷りとは
▲雁皮紙
「雁皮紙」と言われる雁皮の樹皮の繊維から作った、薄く上質の和紙と一緒に刷ることだよ。
すでに、一回刷ってるに何でわざわざ和紙と一緒にまた刷るの?
それはね・・・
分かった!アジでしょ。味だ!
なぜ雁皮刷りをするのか
一つは、細かい部分の描写をより綺麗に表現できるのと、もう一つは作品の見栄えが良くなるからだよ。うん、おまつの言うように、あじかな。
細かい部分の描写も綺麗に表現できる
和紙を重ねることによって細かい部分の描写を刷りとることができます。
作品の見栄えが良くなる
インクの黒、紙の白、この雁皮紙の黄色と、色が一色増えることで普段の作品とは異なるまた別の良さが出てきます。
いよいよ雁皮刷りのやり方を見ていくよ!
やったるで!
用意するもの
- 用意するもの
- 銅版(すでにインクを詰めた状態のもの)
- 雁皮紙
- のり
- 水を張ったバットなど<
前回の版を使って刷っていきます。
記事はこちらから▼
雁皮紙の切り方
雁皮紙に当たりを付ける
版の上に雁皮紙を重ね、鉛筆で当たりを付けていきます。この時に、少し内側に当たりを付けます。
水に濡らすと紙が繊維の方向に伸びるから画面より少し小さめに切るのがポイントだよ。
このように繊維の方向に矢印をつけておきます。(のびる方向が分かるように)
雁皮刷りの仕方
雁皮紙を水の中で重ね合わせる
先ほど切った雁皮紙と版を水中で重ね合わせます。
そーっとすくい上げます。とても見にくいですが版の上には雁皮紙がのっかっています。
一見、簡単そうに見えますが、雁皮紙がとても薄いのでヨレたりズレたりしないように版の上にのせるのは難しいです。。これは、回数を重ねて上達するものなので初めのうちは上手くできまいかもしれませんが根気よくチャレンジしてみてくださいね!
何でこれは水の中でやるの?
あとで、糊を雁皮紙に塗るんだけどこの雁皮紙が和紙と同じぐらい薄いから糊をそのまま塗ると紙がよれたり、破れたりして難しいんだよ。だから銅版に水でピタッとくっつけてその後に糊を塗ると失敗しにくいんだよ。糊でつけるのはシンコレと同じ原理だよ。
余分な水を拭き取る
次に、表面の余分な水を拭き取って行きます。
このように上から押し付けるように水を拭きとっていきます。
雁皮紙と版の間に入ってしまった空気を押し出すのも込めて上から押し付けながら拭いていくよ。この時に、雁皮紙がズレないように気をつけてね。
糊を塗る
この秘伝の糊を刷毛を使って雁皮紙全体に塗っていきます。
これは先祖代々受け継がれている秘伝の糊か!
いや、なんか普通のでんぷん糊と水混ぜたやつだよ。ちょっといってみただけ。
あっ、そうなんだ。。
全体にササッと塗ります。
先程の水と同様、余分な糊を拭き取ります。
せっかく、糊付けたのに、拭き取って大丈夫なの!?
最後にプレス機で圧をかけるから糊の量は拭き取った方が丁度いいんだよ。拭き取らないでこのままプレスすると、糊の量が多すぎてはみ出て作品が汚れたりするんだよ。
雁皮紙と糊が綺麗に重なっています。
刷るとこんな感じ
綺麗に刷れました!
刷る時には糊がついているので慎重に紙を置きましょう。
前回のスピットバイトのものと比較してもその差は一目瞭然。
雁皮紙の黄色い色合いがまた違う雰囲気で味が出ています。
近くで見ると、細かいエッチングの線や、スピットバイトの淡い濃淡もしっかり刷り取れています。
まとめ
今回は、雁皮刷りについて紹介しました。少しテクニックのいる技法ですが、ただ和紙を貼っているだけなのに作品の完成度もグンと上がるのでおすすめです!一度刷った作品と和紙を一緒に刷るだけなのでお気に入りの一枚で試して見てくださいね!