【銅版画の作り方 技法 その④】淡い濃淡が綺麗に描ける!スピットバイト (spit bite) で作ってみよう

スピットバイトについて


スピットバイトってどんな技法?



松脂(まつやに)を銅版に散布する
この松脂をすり鉢で砕いて粉末にし、銅版に散布します。
今回は前回エッチングをした銅版に松脂を散布していきます。
用意するもの
・松脂
・加筆したい銅版

松脂とは


粉末にしたものがこちら。
布に入れて上から振って銅版に満遍なく散布していきます。

上から均一に撒いていきます。
撒く時には、なるべく無風の所がいいのでこのような箱の中で撒くとうまく仕上がります。
満遍なく散布できました。


スピットバイト の原理について
松脂で防食をする
松脂で銅版を均一に覆う。松脂で防食をします。
松脂を熱で少し溶かす
銅版の裏から熱っして松脂を少し溶かします。
少し溶かすことで隙間ができ、松脂に覆われている部分と、銅版がむき出しの部分が出来ます。
この時に、完全に松脂を溶かすと腐食されないので注意が必要です。
防食していない隙間の部分のみ腐食される
この状態で腐食すると、銅版がむき出しの部分のみ腐食され、全体が黒く塗られた感じに腐食されます。(粒子がとても細かいので綺麗な面として色が付きます)


熱して松脂を固着させる
均一に松脂を散布できたら裏からアルコールランプなどで熱して松脂を少し溶かし、銅版に固着させます。
熱すると、少し透明になります。
熱しすぎると、粒子の隙間がなくなり腐食されないので松脂の色が少し飴色に変わってきたなと思うぐらいが完成の合図です。
腐食液で描画していく
色を付けたい部分に筆に腐食液を付け、描画をしていきます。
描画できたら15分〜20分程置いてしっかりと腐食させます。

アルコールで洗う
置いておいた銅版を水で洗い、アルコールで松脂を落としてきます。

綺麗に腐食されていました。
これで刷ってみたいと思います。
濃淡が綺麗
綺麗に濃淡が出ました。
腐食液を多めに重ねた部分はより濃く色が出ていました。
前回のエッチングのみの時と比べると、その違いは一目瞭然!
淡い濃淡が付いて作品に深みが出ました。
まとめ
今回はスピットバイトについて紹介していきました。
細かい色の調整がしやすい技法なので細部の明暗の描き分けをしたい時などにぜひ使ってみてくださいね。
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