銅版画と木版画を合わせて作るって!?
今回はタイトルの通りなんだけど銅版画と木版画を融合して作品を作るよ。
え、、そんなことできるの!?
銅版画と木版画を合わせていいのか?
ここで気になるのが銅版画と木版画を合わせて作っていいのか?という方もいるのではないのでしょうか。
人によっては「銅版画は銅版画として完結させて、はじめて銅版画だ。」という人もいるかもしれません。ですが私は出来上がった作品が良ければ、色々な方法を試してみるべきだと思っています。むしろ色々な技法を試せるのは他のアートでは出来ない銅版画の強みといえると思います。
でも、なんで木版画を使おうと思ったの?
なぜ木版画を用いることにしたのか
淡い色味の作品が作れるから
銅版画は粘り気のある油性のインクを使いますが、木版画は水彩絵の具やアクリル絵の具などの水性の絵の具を使います。そのため銅版画では出せない淡い色合いを出すことができます。
ですが、淡い色合いを出すだけなら以前に紹介した手彩色という方法があります。なのでわざわざ作るのに時間のかかる木版画で制作する必要もないのですが、実際に出来上がったものを比較すると、なんというか作品の雰囲気や色の感じなどが全く違うことに気付きました。
これも両方の技法を試したからこそ知り得ることができました。
銅版画と木版画は正反対の技法
以前にもこちらのそもそも版画ってなに?版画の種類や特徴を紹介!記事でも触れたのですが、銅版画は凹版で木版画は凸版という正反対のやり方で作られます。なので版を彫る時には銅版画は絵となる部分を彫り、反対に木版画は絵となる部分を残して彫らなければいけません。ややこしい。。
作ってみよう!
今回はこちらの銅版画作品に木版画で色を入れていきます。
どんなふうになるのか楽しみだね!
木版を銅板と同じ大きさにカットする
まずは版を同じ大きさに揃えます。同じでないとあとで合わせる時にズレるのでできるだけ同じ大きさしましょう。
私はノコギリでギコギコしてカットしました。気持ち木版の方が少し大きくなってしまいましたが、まぁ初めてだしこれはこれで。。。うん。。
トレーシングペーパーに写していく
木版画で色を入れる部分をトレペに写し、木版にカーボン紙を使って転写していきます。
木版画を彫っていく
実は私の通っている銅版画教室の先生はなんと木版画にも詳しく「教えていたこともあるよ。」とのことで今回やり方を教えてもらいました。
切り出し刀で溝を彫る
まずは線に沿って切り出し刀で(平べったいやつ)溝を彫っていきます。
溝を彫ることでこの後の彫りがとっても楽になるんだよ!
丸刀で溝の周りを彫っていく
こんな感じで丸刀を使い先ほど彫った溝に沿っていらない部分を彫っていきます。初めは浅く徐々に深く彫っていきましょう。一回で深く彫ろうとすると絵の部分も彫ってしまう恐れがありますので少しずつ彫っていくのが失敗しないコツです。
さっきの溝のおかげで絵の部分まで彫ってしまうこともないんだね!
そうなんだよ、丸刀で彫っていて溝が浅いかもと思ったらまた切り出し刀で深く溝をつけてね。
水彩絵の具で色を塗る
しっかりと彫れたら、水彩絵の具とデンプンのりを混ぜたものを木版画に塗っていきます。
なんで糊を混ぜるの?
そのほうが紙に絵の具が吸着しやすいんだよ。
しっかりと塗れました。後でプレスするので絵の具の量は気持ち少ないぐらいでも大丈夫です。あんまり量が多いと絵の具がはみ出たりします。
試し刷りをする
本番で刷る前に、いらない紙などで一度試し刷りをします。
なんで試し刷りするの?
一度、木版に絵の具を馴染ませたほうが綺麗に出来上がるんだよ。
版の合わせ方
今回一番の難所と言っていい銅版と木版と紙を同じ位置に合わせる作業。
正直とても面倒くさい作業ですがこれをしっかりやらないと絵がズレてしまい大変なことになってしまいますのでここは、しっかりと集中して作業を行なっていきます。
同じ大きさだとガイドの位置も同じに揃えられるので、合わせる作業がとても楽になります。
今回、版がふたつあるので版は動かすことになります。そのため「このガイドのところに置く」と決めておくと刷る時のズレを防ぐことができます。
紙は一箇所、マステなどでしっかりと固定します。版を入れ替える時はそっと紙をめくり紙がズレないように注意しながら行っていきます。
木版、銅版(順不同)を先ほど決めたガイドのところに置き順番に刷り完成です。
こういう作業本当苦手。。
そうだね、繊細な作業が問われるから苦手な人は手彩色とかシンコレとかの方がいいかもね。
完成 !
こんな感じでできました!
まぁ、木版の方が少し大きかったので多少ズレましたがこれはこれでいいのではないかな。
まとめ
前回のと比べると全然雰囲気が違う作品になりました。
久しぶりの木版画で(大学以来)楽しかったです。また、出来上がった作品も普段とは全く違う雰囲気の作品になったので、新しい作風に挑戦したい人にはオススメの技法かなと思います。
木版画彫るの、時間かかったけど楽しかったよね。
木版画もできるようになると表現の幅が増えるから興味があったら色々試してみるのがオススメだよ。