今回は、私がデザイナーとして感じたデザイナーに言ってはいけないワードを紹介します。もしも、あなたがデザイナーと一緒に仕事をする機会がありましたら、決して言わないであげてください。確実に嫌われます。
デザインは思っている以上に時間と労力がかかる
私は、インハウスデザイナー(フリーのデザイナーではなく社内のデザインナー)として働いていました。なので、企画や営業といったデザイナー以外の他部署の人達とも毎日接します。そして仕事の依頼も社内の企画部や営業部から来ることがほとんどです。
ということは、デザインについて知らない人から依頼がくるわけなのですが、彼らはどのようにして私が販促物のパンフレットやwebページを作ったりしているのか、社内で会った時の「デザイナーってなんかパソコンで作ってるな。」ぐらいにしか認知していないのです。
実はデザイナーは、一見パソコンでぱぱッと作ってる雰囲気を出してはいますが、作り出すまでに幾つかのプロセスを経てデザインに落とし込んでいます。(ここのプロセスの部分はまた後日紹介します。)なので思っている以上に時間と労力がかかっているのです。これらを踏まえた上で見てもらえればと思います。
デザイナーに言ってはいけないワード5選
なるはやでお願いします
ある日、営業部の人から店頭で使う販促POPのデザインの依頼がありました。いつものように依頼書に目を通していると納期の記入がなかったので「これ納期いつまでですか?」と確認をすることに。
すると、「そうですね、とりあえずなるはやでお願いします。」
なるはやとは、ビジネス用語で「なるべく早く」の略なのですが、恐ろしいことにその人が持ってくる全ての依頼が「なるはや」なのです。では、なぜこの人は納期をはっきりと明記しないのか。実はそこには別に期限は決まっていないけど、できるなら早めに欲しい。という気持ちの表れが「なるはや」という都合の良い言葉に集約されていたのでした。
私は「分かりました。では、なるはやで」と言って、まぁ2〜3日ぐらいにやれば良いかと、その前にもらった「別のなるはや案件」を先に終わらせることに。すると、次の日「お願いしたのってまで出来てないですか?なるはやって言ったんですけど。」と言われました。
「昨日のなるはやより、その前にもらったなるはやの方が優先かと思ってたんですけど」と私が返すと「あーでも昨日のも、なるはやなんで。」と、自分でも何を言っているのか分からなくなる程に「なるはや」が飛び交います。
結局、双方の「なるはや」の捉え方が異なり「なるはやって結局どれが優先なんだよ!」となるのでデザイナーに依頼する時は、特に印刷関係の場合は入稿などの時間も見積もって最低5日から一週間の時間はあげてください。そしてどれが最もなるはや案件なのかをしっかりと伝えて下さい。でないとデザイナーは心の中で発狂します。
良い感じのデザインでお任せします
今度は、webページのメイン画像をリニューアルしたいからデザインをして欲しいと依頼がありました。まずは、依頼者がどんなデザインを希望しているのかを確認する為に「こんな感じのデザインにしたいとかありますか?」と聞いてみました。
すると、「ちょっと、分からないので良い感じのデザインでお任せします」と言われました。
これだけを聞くと、普通だったら「じゃあ、私の好きなように作っちゃおう!」と思うところなのですが、実はここで言う「お任せします」は「好きなように作ってください」という意味ではありません。もしこの意味で捉えているのであれば後で必ず痛い目をみます。ではどのような意味かと言うと、、
正解は「私が思っている良い感じのデザインでお願いします。」なのです。
この言葉の対処法として手取り早いのが、こちら側でイメージしやすい様々なバリエーションの画像や、参考サイトをいくつか事前に用意をし「こんな感じですか?」と依頼者が思っている良い感じのデザインイメージとの「すり合わせ」をする必要があります。でないと、出来上がってから「これじゃないですね、なんかもっとこうビビットな感じが良かったんでやり直してもらえますか?今日中に。」と言う恐ろしい言葉が返ってきますのでくれぐれも注意してくださいね。
すぐできるでしょ
デザインが出来上がって確認してもらうと必ずと言っていいほど、修正が入ります。例えば「ここのカタチを変えるだけなんてすぐできるでしょ。」と、よく言われます。デザインをしたことがない人からしたら、パッっと見ですぐに修正できるのでは?と思うのかもしれません。
ですが、実際にはその一部分を変えることで全体の調和が崩れるので結局は全体の修正をすることになります。なので時間がかかるのですが、どう言うことか、みんな私のことを魔法使いか何かと勘違いしている節があります。無理です。5分でちゃちゃっとは出来ません。最低30分はかかります。
このパンフレットで使う画像はサイトの画像を使って下さい
このワードだけを聞くと「なんだ今までと違って親切なのでは?」と思う方も中にはいるかもしれませんが、実はこのワードを聞いたデザイナーはこぞって「おい、嘘だろ。。」と絶望します。
なぜかというと、実は雑誌やパンフレットなどの印刷物とweb上のサイトなどの画像は一見同じように見えるかもしれませんが、画像の解像度が全く違います。(解像度の話はまた今度)簡単にいうと、画像を形成するドット数が印刷だとweb画像のドット数の約5倍のドットがないと印刷用の画像として使うことができません。
仮に、web用の画像をそのまま印刷物に使ってしまうとピンボケしたボヤけた画像になってしまうのです。その他にも、印刷とwebだと色味が異なるので(webは光があるので印刷よりも色が鮮やかに映る)印刷物として制作する場合は印刷用のフォーマットのデータをデザイナーに提供しなければピンボケでぼやぼやの見るに耐えない恐ろしいパンフレットが出来上がってしまいます。
納期までに他のデザインをもう2〜3案出してもらえますか
デザインをしたことがないからこそ言える発言なのですが、よく言われるワードでもあります。冒頭でも少し触れたようにデザインに落とし込むまでには思っているよりも時間がかかります。
デザイン案を一つ出すということは例えるなら、とあるレストランのシェフが夜な夜な試行錯誤して新メニューを出すのと同じぐらい大変であると理解して欲しいのです。そんな一朝一夕でデザインは出来ません。
なので、提出したデザイン案の他にさらにいくつかデザインが欲しいのであれば、納期が延びてしまうのは必然であることを知っておいて下さい。
まとめ
今回は私の仕事経験を踏まえながら紹介しました。デザイン職は専門職なので当然、デザインの知識がない人、デザインをしたことがない人が依頼をしてきます。その時に知らないからこそ言える時には少しデリカシーのない発言もあったりします。それは知らないのだから仕方がないといえば仕方がないのでまぁ大目に見ましょう笑。
もしもデザイナーとして仕事をする上で、このような人間関係でストレスを感じているのであれば他人を変えることは出来ないので自分の仕事のしやすいように自分から提案し、しっかりとコミュニケーションを取るように努めるしか方法はありません。
自分の作業のしやすいように「次回からは納期を明記してほしい」だったり「印刷物はこんなに時間がかるんですよ」というのを予め伝えると、少しは依頼者側も理解して次回から改善してきてくれる人もいれば言ったことを全く聞いてない人もいます。まぁ仕事なのでいろいろな人がいますよね。世のデザイナーよ、みんながんばれ。。