インハウスとデザイン事務所のデザイナーの違いってなに?の話

インハウスとデザイン事務所のデザイナーの違いってなに?の話

今回はインハウスとデザイン事務所のデザイナーの違いについて、私の体験談を書いていこうと思います。特に、これからデザイナーを志す人はこういった現実があるということを知った上でデザイナーとして働くということを知ってもらえればと思います。

友人の相談

ある日、私は美大の友人から「飲みに行かない?」と誘われたので久しぶりに飲みにいくことに。
その友人も私と同様に美大を出てからはデザイナーとして働いていた。
デザイナー同士が飲みに行けば自ずとお互いの仕事の話しに。

当時の私は、インハウスデザイナー(社内のデザイナー)として働いていたのだが、その友人はデザイン事務所のデザイナーとして働いていた。インハウスで働いている身からすればデザイン事務所で働いているなんて「きっと尖った感じのカッコ良いデザインとかしてるんだろうなぁ。。」と思っていたので「最近どんなデザインしてるの?」と聞いたら

「いや、私仕事辞めようと思ってるんだよね。」と友人が一言。

「ついにきたか。。」

どうやら今夜は、ただグダグダお酒だけ飲んで楽しんでいられるというわけではなく、仕事を辞めようかどうかの相談をされるのか。。と少し帰りたい気分になったのだが、まぁ相談されたら聞くしかあるまい。

デザイン事務所の実情

なぜ、この友人が仕事を辞めようと思っているのか。おおよその見当は付いていた。
「デザイン事務所=ブラック」なのはデザイナーを志す者なら周知のことであり、デザイン事務所がいかに劣悪な仕事環境で、短期間で入っては辞める人が後を絶たないのかを美大の先輩達から聞いていたからだ。そんなこともあり、私も就活中はインハウスのデザイナーの求人しか頑なに応募しなかったのだ。

実は、この友人もデザイン事務所が大変であることは承知の上で入社しているのだ。
では、なぜわざわざ自分からそのような過酷な環境に身を置くことを決めたのか。

そこにはデザイナーを志す若者達を虜にするデザイン事務所の魅力があるのだ。

デザイン事務所の魅力

私も就活中に何度かその甘い誘惑に負けそうになったのが、まずデザインを仕事としてやりたい人間は「洗練されたかっこいいオシャレなものを作って世に発していきたいという」思いを元に生きている。なので、よくネットやメディアで取り上げられるのもオシャレなデザイン事務所で洗練された広告をデザインしているフリーランスのデザイナーばかりである。

それに比べてインハウスはどうか。
正直にいうとそこまでオシャレでかっこいいデザインは出来ない。

なぜか?

実はデザインをしている人が見たら「かっこいいデザインだな。このあえて余白多いのがいんだよなぁ。。」と思っていても、営業などのデザインをよく分からない人からすれば「なにこの隙間?もっと商品大きくして見やすくして。あと価格も赤とかで目立たせてよ。」とよく言われる。

ここで求められるデザインとは、オシャレさよりもこの広告を見て商品が売れるか売れないかが求められるのだ。極端に言えば、スーパーのチラシのようなデザインの方が売れればそちらの方が良いデザインととられるのだから、デザイナーにとってはなんとも世知辛い世の中だ。。

では実際にデザインをするなら、洗練された余白多めのオシャレなデザインとスーパーのチラシのようなデザイン。あなたならどちらをやりたいですか?と聞かれれば100人中、100人が前者を選ぶだろう。

なので、インハウスで働くよりもデザイン事務所で働いて洗練されたデザインやスキルを吸収して、ゆくゆくは独立してフリーランスで自分の名前でデザインできるのが、デザイナーにとっての理想であり夢なのである。もちろん、この理想は学生時代の私も同じだったのだが、ひと月でデザイン事務所を辞めた先輩の話や、家に帰れずに体を壊してしまい結局はデザインを辞めてしまった人、そして実際にデザイン事務所を開いているデザイン科の教授の話を聞いて「私には無理だな」と思ったのだ。

デザイナーと仕事をする人は必見!デザイナーに言ってはいけないワード5選

夢を追いかけることと働くこと

私には夢を追いかけ、そのまま茨の道を進むほどの度胸もなければ覚悟もなかった。好きなことを仕事にすれば頑張れると思い、デザイナーという職業を選んだのだが、本音を言えば、働かないで好きな本を読みながら気ままに絵を描いて生きていたいのだ。

なので「長期的に仕事として毎日無理なく続けられるか」「プライベートの時間もしっかりと確保できるか」それが私にとっての仕事を選ぶ上での最低限の条件であった。

デザインが好きだから嫌いになりたくない

結果的にインハウスは自分の性に合っていた。
私の周りは、ほとんどがデザイン事務所に就職したのだが3年後に同窓会をしたら8割の人がデザイナーを辞め一般職に転職していた。みんな理由は様々だったが、大体が体を壊して普通の生活がままならなかったからだ。

みんなは口々に「デザイナーなんてなるもんじゃない」「給料もそんなによくないし、家にも帰れない」とデザイナーとして一生懸命頑張っていた過去の自分達に後悔していた。学生時代はあんなにもデザインについて語り合い「こんなデザインやりたいよね!」と話していたのに。ちなみに冒頭で飲みに行き私に相談した友人もその後、デザイナーを辞め今は別の仕事をしている。

悲しいことだが、どんなに好きなことでも無理をすれば自分の嫌いなものに変わってしまうことがあるのだ。
私はデザインが好きだから嫌いになりたくないし、死ぬまで付き合っていきたいと思っている。インハウスでもデザイン事務所でも一人一人がもっと働きやすい環境になればこんなにも辛い思いをする人が出てくることはなくなるのになと、友人がデザイナーを辞めたという報告を受ける度にいつも思うのだ。

インハウスデザイナーの良いところ

ここで少し私がインハウスデザイナーとして働いていて良かったなと思う点を紹介します。
参考までにどうぞ。

社会人スキルが身につく

まず大前提として、インハウスデザイナーはデザイナー云々と言うよりも一会社員として雇われている。なので社会人としてのスキルやマナーなどは営業や企画と同じように身に付く。逆にデザイン事務所の場合だと、その点は事務所によってかなり幅があると思う。

以前、デザイン事務所と仕事をする機会があり、お会いした方は服装が奇抜で会社員というよりはアーティストに近い出立ちで、話し方もかなりフランクであった。私は「いいなぁー、自由でカッコいいなぁ。私もあんな格好したいなぁ。。」と思っていたのだが、私の横にいた上司は終始怪訝な面持ちで、ミーティングが終わるなり「ないな」と言っていた。

しかし、私はそこのデザインの提案内容はとても良いと思ったので上司に「でも内容はいいんじゃないですか?」と言っても全く取り合ってもらえなかった。どうやらその上司は相手のシャツの色が紫のストライプであったことが気に入らなかったようだ。そこが良いのに。。

福利厚生がしっかりしている

ここがインハウスを選んだ最大の理由でもある。先述した通り、みんな休みが取れず徹夜続きで体を壊しているのだから、週休二日で定時に帰れることは優先すべき事項である。それに残業があっても残業代が出れば頑張れるというものだ。長くデザイナーとして続けたいのなら自分の健康を一番大事にすることである。

インハウスデザイナーとデザイン事務所はどっちが良いの?

結論から言うと、私のような人間ならインハウスが良いだろう。それにインハウスだからデザインが全部カッコ良くないということは全くない。普通にオシャレなデザインもできるし、最終的には営業が求める、あまりオシャレではないデザインを絶対通したくないから、どう相手を説き伏せるか考えるようになるので相手の立場に立って考えられるようになる。これは本当にインハウスで良かったなと思う点の一つである。

反対に、過酷な環境で短期間で洗練されたデザインと、スキルを会得したいならインハウスよりもデザイン事務所が良いだろう。そしてそのままフリーランスとして駆け上がれるパワフルな野心家の人なら断然デザイン事務所が良いと思う。それにデザイン事務所の方が様々なジャンルのデザイン依頼がくるのでそれはインハウスよりも魅力的な点の一つだと思う。

まとめ

今回は長々と私の体験談を綴りました。
これからデザイナーを目指す人は特に、好きなことを仕事にするということは、何かを優先し何かを犠牲にしなければならないことがある。ということを覚えておいてください。

また、これは私の周りの人の話しなので、デザイン事務所によっては福利厚生、労働環境などもしっかりしているところもあると思います。なので一体験談として読んでいただければと思います。本当に、デザイナーがもう少し働きやすい環境になっていることを切に願います。デザイナーのみんなよ、体は大切にしてね。

デザイナーになりたい人は心がけた方が良い5つのこと

デザイナーと仕事をする人は必見!デザイナーに言ってはいけないワード5選

 

コメントフォーム

*
*
* (公開されません)