残酷で不条理に満ちた世界観で人々を魅了するカルト的絵本作家 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密 練馬区立美術館

トラウマになった絵本との出会い

以前、雑貨屋に立ち寄った際にこんなPOPを発見。

「世界一残酷な絵本作家エドワード・ゴーリー」

「どんな絵本を描いてるんだろ?」と気になりこちらの絵本をチラッと立ち読み。

 

その名も「おぞましい二人」

「・・・・・。」

あまりの内容のおぞましさに絶句しました。
読まなければよかったと後悔する程の内容。さらにこの線の細い絵が、より薄気味悪さを出していておぞましい世界観が出ていました。
なんでも、このエドワード・ゴーリーが大人向けの絵本作家として、近年若い人たちの間でブームになっているカルト的絵本作家だそうです。なるほど、確かに大人の私がトラウマになるぐらいだから、ましてや子供には絶対に見せたくない絵本です。

内容はともかく、私はこの線の細い絵がもしかして銅版画で制作したものではないのかと、興味があったので今回、「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展に行ってきました。実はこちらの展示は2016年から全国巡回しているという人気っぷり。。これだけ人気だと、ますます観ておく必要がありそうですね。

練馬区立美術館

こちらの練馬区立美術館は1985年10月1日に開館。日本近現代美術を中心に、斬新な視点・切り口で開館以来様々な展覧会を開催。美術館の要である作品の収集・保存管理・研究・展示といった活動に付随し、学芸員や作家によるギャラリートークやロビーを利用したコンサート、様々な技術や知識を学ぶ講座など、教育普及事業も多彩な展開を見せています。また開かれた美術館を目指し、区民ギャラリーと創作室の貸出しを行い、区民の方の制作や発表の場としても利用できます。この草で出来てるクマが可愛い過ぎる!!

美術館の周りは、芝生に囲まれており「練馬区立美術の森緑地」と呼ばれています。天然芝を敷きつめた園内には、20種類・32体のファンタジーな彫刻群があり、子供連れでお散歩するのにも楽しそうな美術館となっています。こちらのカラフルなキリンの他にもゾウやらゴリラやら色々な動物がいました。

早速、入り口の所におや?
なんだか可愛い子がいる!
実はこの二人はゴーリーの絵本「ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで」に出てくる子供たちが。可愛そうなことにゴーリーの絵本に出てくる子は大体死にます。

中に入ると、、、

エントランスでは「うろんな客」に出てくる「うろんな客」がお出迎え。
ゴーリーの絵本の中でも大人気のキャラクターなんです。

エドワード・ゴーリーとはどんな人?

1925年、アメリカのシカゴに生まれたエドワードゴーリー。1950年、友人の詩集のイラストを描き、これを機にブックデザイナーや挿絵の仕事をするように。同年、絵本デビュー作品となる『弦のないハープ またはイアブラス氏小説を書く』を発表をし、これがニューヨークタイムズに掲載され一躍絵本作家としての道を歩み始めることになります。

絵本という体裁でありながら、道徳や倫理観を冷徹に押しやったナンセンスな、あるいは残酷で不条理に満ちた世界観と、徹底して韻を踏んだ言語表現で醸し出される深い寓意性、そしてごく細い線で執拗に描かれたモノクロームの質感のイラストにおける高い芸術性が、「大人のための絵本」として世界各国で熱心な称賛と支持を受けている大人のための絵本作家として世界的なカルトアーティストに。その人気っぷりから世界中に多くのコレクターがいる程。実は本人いわくもともとは、児童書として描いたつもりだったのですが、出版社が大人向けの絵本として世に出したことで現在の絵本作家として成功したようなのです。確かに、これを子供向けで出したら世の親御さんたちから批判されそうですね。。。

ちなみに彼は愛猫家であり、絵本にもちょくちょく猫ちゃんが出てきます。

「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」の展示内容は?

展示は大きく分けて3部構成でした。
第1章 ゴーリーの絵本
第2章 デザイナー時代の挿絵や表紙など
第3章 その他の創作や舞台美術など


なんとコチラのイラストは紙とペンで全て描かれていました。

絶対銅版画だと思ったのに。。。

まさかのペンか、、逆にすごいなぁーと関心です笑。

おぞましい二人

私が絶句したコチラの絵本、内容はこんな感じです。
孤独な男女が出会って結婚する。彼らは人里離れた家に住み、ある日を境にこどもを誘拐し拷問して殺すようになる。数年に渡って殺人を繰り返すがやがて逮捕。精神異常と診断され離ればなれになった2人は刑務所内の病院で死ぬ。というなんとも救いがないもの。

実はコチラの作品、実際にあったある事件のおぞましさに、どうしても物語として書かずにはいられなかったとして作られた絵本。刊行時にはアメリカで多くの反感を買ったのですが、「残酷な出来事を描く人間は残酷な人間である」、という勘違いに基づいていたものと思われたものだったのです。実際ゴーリー自身は温厚でとても優しい人だそう。ゴーリーが残酷さとは無縁のもっと切実な思いゆえに、やむにやまれずこの本を描きました。作家としての何かに触発されたのでしょうか。。

うろんな客

風の強いとある冬の晩、館に謎の生き物がやってきた。そいつは声をかけても応答せず、壁に向かって鼻を押しあて、ただ黙って立つばかり。翌朝からは、大喰らいで皿まで食べる、家の中の家具を壊し、眠りながら夜中に徘徊、家中のタオルを隠すなどの、奇行の数々。でもどういうわけか、一家はその客を追い出すふうでもない。

館に住む家族とどこからやってきて何のためにやってきたかもわからない生き物の奇妙な生活を描いた絵本です。オチ的なオチはないのですがこの館にやってきた奇妙な生き物に愛着が出てきてしまう不思議な魅力がありました。

ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで

先ほどの入り口のドアにいた子供も出てくる作品。
AからZまでが名前の頭文字についた26人のこども達の様々な死に方がイラストと共に描かれている絵本。

こんな感じで、

A is for AMY who fell down the stairs
Aはエイミー かいだんおちた

これがZまで永遠に続きます。

なんでもゴーリーは描くネタに詰まるとアルファベットを順々に描いていくという手法をとっていたらしいです。それにしても順々に子供が死んでいくのは心苦しいです。

キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科

なんとコチラの絵本はあの劇団四季でお馴染みの、ミュージカル「キャッツ」の原作をエドワード・ゴーリーの挿絵とイギリスの詩人T・S・エリオットによる子供向けの猫詩集です。

意味のないことこそ意味がある「具体例のある教訓」

ナンセンスな短文とパノラマ写真のような横長の絵が連なる「意味があるようでない」作品です。そのヒントとなったのがサミュエルフットによる偉大なるパンジャンドラムという全く意味をなさない詩です。昔から意味のないものを書くという考えに惹かれていた というゴーリーはお気に入りの自作としてコチラの作品を挙げています。

銅版画作品もあった!

二階に上がり最後の展示室に銅版画作品がありました!

やっぱりね・・・そんな気がしてたんだよ。
だってこの人絶対エッチング好きそうだもの。

この私の読みは正しく、エッチングによる銅版画作品が展示してありました。ゴーリーは1975年から銅版画を始めます。中には、エッチングの他にもアクアチント(Aquatint)を使った作品もちらほら。なんとコチラにあった銅版画作品はとあるコレクターの方が個人で持っているものでした。その中でも特に「一輪車に乗る蟲」は銅版画の線の細さが綺麗に出ていてとても素敵な作品でした。(探しても画像がなかったので(無論、撮影も不可)ここで紹介できないのが残念ですが。。。)

グッズショップ

毎回恒例グッズ紹介へ!
ちなみにコチラのショップは現金のみの取り扱いしかないので当日は現金を持って行きましょう。クレカもPayPayも使えないので要注意です。

コチラのグッズのほとんどが、なんと会場限定のものばかり。なのでグッズショップには「この人絶対ファンの人だな。。」という人たちが大人買いしていました。

コチラはタロットカードです。
なんでもファンの方に大人気だそうです。

コチラはマグネット。
「うろんな客」とゴーリーお気に入りの猫ちゃんが描かれたデザインのもの。

コチラもマグネット。丸型ってちょっと珍しい感じがして可愛いです。

マスキングテープとボールペンです。
マスキングテープは絵具を塗る時にマスクをするのに使っていたのでこういうオシャレマスキングの使い方が分からない笑。。

まとめ

最初はどんな精神の持ち主かと恐る恐る見に行ったのですが、過去のインタビュー内容の展示を見て、意外にも温厚で優しい感じの方で少し安心しました。また、絵を描いていて描き直すのが大変な時は上から紙を貼って修正していたというエピソードなども、元デザイナーらしい合理的な仕事の仕方もとても共感が持てました。絵本の内容はともかく、ペンで紙に書かれた繊細な原画はどれも見る価値アリでしたので興味のある方は是非、足を運んでみてくださいね。
私は最後に銅版画が見れたので満足です笑。

練馬区立美術館
住所 東京都練馬区貫井1-36-16
開館時間 10:00〜18:00(最終入館17:30)
休日 月曜日、年末年始
料金 1,000円 (一般)
公式HP https://www.neribun.or.jp/museum.html

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