この前、友達に「版画にする意味ってなにー??」って言われたんだよね。普通に紙とペンじゃダメなのって?「あじ」だよって答えちゃったんだけど、そう聞かれるとなんでかなって。。
すごい質問攻めだね。。。そうだね、版画を知らない人からしたら「そのまま紙にペンや絵具で描いた方が早いんじゃないの?」って思うよね。
版画は印刷の始まり
そもそも版画とは何か。版画とは現代で言うところのコピーなどの印刷技術の始まりとされています。14世紀の末ごろにヨーロッパで木版画が出現し、ついで15世紀前半に銅版画が生まれました。その後も、その時代や産業に合わせ、石版を使った平版や現代のオフセット印刷と印刷技術が発展していきました。初期の版画は民衆芸術的な色彩が強く、聖地巡礼の記念品としての聖書の題材や聖像を表したもの、護符、ゲーム・カード、書物の挿絵などに用いられていました。
版画がなかったら今みたにコンビニで簡単にコピーが出来るようにならなかったんだよ。
そうなんだ!!版画ってすごいね!
絵を版画にする意味とは
複製ができる
一番の特徴としては、何と言っても複製ができること。先ほど、版画は印刷の始まりと言ったようにただアートとしての作品ではなく、印刷としての特性も備えています。なので、一つの作品を版にして作れば同じ作品を何枚も刷ることができます。これが、油絵や水彩で制作したものだったらなかなか同じ作品を同じように描くのはとても大変ですし、時間もかかってしまいます。また、複製することで他の人や、自分用としても同じ作品を共有することが可能になります。その作品があまりに好評ならもっと多くの人に同じ作品を渡すことも可能になります。しかも、複製した作品の全てが原画=オリジナルなのです。
途中段階を残すことができる
例えば、油絵や水彩画などの作品は制作過程を一つの作品として残すことができません。ですが、銅版画の場合は何度も途中、途中で確認しながら徐々に完成に近づいていくので、「まだ出来上がってないけど、この段階の表情面白いな。。」と思ったら何枚か刷っておけば作品として残すことができます。その後は加筆してしまうので戻ることは出来ませんが、途中で立ち止まることは出来ます。
制作する過程が好きで楽しい
紙にペンで描いた方が早いし、修正も簡単にできます。それに比べ版画はとても時間がかかり、自分がイメージしていたものと違う風に出来上がることもあり、もどかしいこともあります。ですが、それが楽しいんです!例えるなら理科の実験や料理に近い感じです。8割型の予想はついているのですが、いざ作ってみると「あれっ??なんか違うな。。」「あれっ、、意外にイイかも!!」と言う偶発的な部分があります。そこがこの版画の魅力の一つだと思います。
版画ならではの作風(あじ)が好き
一見、普通に紙にペンで描いたものと版画で作ったものとでそんなに変わらないないのでは?と思ってしまう人もいるかもしれません。しかし、これは実際に版画作品を目で見て触らないと、ペンで描いたものとの違いは分かりにくいのかもしれません。
僕はこれが一番かな、プレスしたときの紙の凹凸具合や触ってみるとインクが少し盛り上がっている感じが好きなんだよね。
版画は大きく分けて4種類
先ほど、木版画や銅版画などの版画が出てきましたが、版画の種類は大きく分けて4種類あります。
この4種類の版画の仕組みを順に見ていくよ!
イェイ!
凸版(とっぱん)
凸版とは
印刷したい部分を残して周りを削り取り、出っ張っている部分にインクを載せて上から圧力をかけて絵を刷ります。代表的な版画としては小学校の美術などで行うことが多い、木版画や消しゴムハンコなどが挙げられます。
また、版画と言ったらこの凸版という認識がとても多いぐらいメジャーな版画技法かなと思います。
出っ張っている部分にインクをのせます。
インクの上に紙を載せ、上からローラーなどで(木版画などはバレンでインクを擦ります)圧力をかけます。
出っ張っているインクの部分のみ紙に写しとることができます。
凹版(おうはん)
凹版とは
凹版は先ほどの凸版と反対の仕組みで刷る技法です。15世紀のヨーロッパで開発され、今でも紙幣やパスポートなどの印刷に用いられています。銅や亜鉛の版に溝を作り、版一面にインクを載せます。版の表面を拭い、溝のみにインクを残したら湿らせた紙を置き、圧力をかけてインクを吸い取ります。
この版画技法は、主に銅版画で用いられることが多くより細かい線の描写が可能になります。
銅版画を始めるまで、凸版と逆の技法なのになんで刷れるんだろうと不思議に思っていたのですがこのローラーの圧が相当強いのと紙を湿らすことでインクが紙に吸引されて印刷することが出来ます!
インクを版に詰めた状態
その上に紙をのっけてローラーで圧をかけていきます。
すると銅版の溝に詰まっているインクが紙に転写されます。
平版(へいはん)
平版とは
平版は今までの凸版、凹版と異なりまっ平らな版にインクを載せて刷る技法です。版に親水性と親油性の部分をつくり、水で湿らせます。その後インクをのせると親油性の部分にのみインクが定着し、そのまま紙にインクを移します。石や金属などの平滑な版面に絵を直接描き、水と油の反発作用を利用して刷ります。
平版は凸版や凹版に比べて歴史が浅い方法でありますが、リトグラフやオフセット印刷などに発展し主流な印刷方法になりました。オフセット印刷では、版から直接紙に触れるのではなく、一度ブランケットと呼ばれる中間転写体に転写してから紙に印刷します。
表面に感光剤などの薬品が塗布されており、それにより水が残る部分と、はじく部分を作ります。
水がはじく部分にだけインクがのります。それ以外の部分は表面が水で覆われています。
インクを載せたら紙を載せその上からローラーで圧力をかけていきます。
紙にインクがつきます。
現代はこの印刷方法がメジャーなんだって。
孔版(こうはん)
孔版とは
版に穴を開け、そこからインクをローラーなどで押し出し、紙に刷り込む方法です。孔版にはTシャツやトートバックなどの絵柄のプリントに用いられるシルクスクリーンや、ステンシルなどが挙げられます。手軽に行えることがメリットではありますが、あまり数多く刷ることはできません。
版が二段構造になっていて一番上の面は薄いメッシュで穴が空いています。
ヘラなどで一方向からインクを伸ばし、押し出します。
版の穴の部分からインクが出て印刷されます。
まとめ
一見同じ印刷に見えても、よくみると全然違う方法で印刷されているんだね。
刷る物や、その時の用途に合わせて印刷方法を変えているんだよ。色々あるから今度試してみようか。
楽しそうだね!