前回のメゾチントプレートを使ってメゾチントという技法を紹介していくよ!
待ってました!前回のメゾチントプレートをどうやって使うのかなって気になってたんだよね
メゾチントってどんな技法?
メゾチントとは版の表面に細かいギザギザを作って、それを削って描画する技法のことだよ。この細かいギザギザを作ることで他の技法では得られない綺麗な黒色を出すことができるんだよ。
なんだか凄そう。。。
早速、作り方を見ていくよ!
メゾチントプレートの作り方
まず、初めにまっさらな銅版の表面にギザギザを作っていきます。
用意するもの
・ルーレットまたはベルソー(ない場合はカッターでもOK)
表面にギザギザをつけていく
ルーレットまたはベルソーという道具を使い表面に細かい傷をつけて「まくれ」を作ります。
「まくれ」って何?
まくれは版の表面が上の図みたいに削れて逆剥けるんだよ。
ベルソーでのまくれのつけかた
このまくれを版の表面全べて作るため、ベルソーは刃の形に合わせて左右に動かしながら表面全体に傷をつけていきます。
おっきい包丁みたいですごいね!
見た目も特徴的なんだけど、扱うのにもコツがいるから慣れるまで少し時間のかかる道具かもしれないね。
ルーレットでのまくれのつけかた
ルーレットの場合はひたすら転がします。
カッターでのまくれのつけかた
カッターを使う場合は定規に当てながら縦、横、斜めと隙間なく線を引いてき、面全体を線で埋め尽くします。これを均一な無数のまくれができるまで繰り返し行います。
この「まくれ」を作る作業を「目立て」と呼ぶんだよ。ちなみにこの目立ての作業はとっても時間がかかるから、あらかじめやっておくといいよ。
この工程すごい大変そうだね。。
メゾチントプレートの完成
このように表面全体に細かい傷が付いていれば完成です。
手が、、手が疲れてきた。。
実際にやってみると分かると思うけど、この目立ての作業はとっても時間がかかるし大変だからこんな感じで、あらかじめ目立てされているものも売ってるからこれを使って制作すると楽だよ。今回は初めてだったからちょっと目立ての作業もやってもらったんだよ。
えー!!!そんなものも売ってるんだね。でも何で目立てをする必要があるの?
なぜ、目立てをするかというと、この目立てを潰して描画するからだよ。
えっっ、せっかく作った目立てを潰すってどういうこと!?
メゾチントの原理について
「目立て」た銅板の表面はこのように「まくれ」がたくさん出来ているので横からみるとギザギザしていて、このギザギザの溝の部分にインクが溜まります。
このギザギザはとても細かいので、この状態で紙に刷ると一面真っ黒に刷られます。
左が市販のメゾチントプレート、右側がまっさらな銅板にルーレットでゴリゴリと転がして作ったお手製のメゾチントプレートを刷ったものです。
これだけだと、ただの真っ黒だね。
そうなんだよ、だからこの黒い部分を白くして絵を描いていくんだよ。
なるほどーそいうことか!
スクレーパー で削って白色の部分を作る
次に、スクレーパーという道具を使い白色にしたい部分の目立てを削り描画していきます。
バニッシャーで潰しながら磨く
さらに白くしたければ油を少し垂らしバニッシャーで擦りながら完全に目立てを潰します。
削れた部分はインクがつかない
先程は全面にインクが付いていましたが削ったことによりインクがつかないのでこの部分が白色になります。
いつもは黒い部分を描くから、白い部分を描いていくのって少し難しいね。
普段とは逆の作業になるから初めは少し戸惑うかもしれないけど、慣れるとそんなに難しくなるよ。じゃあ、続きを見ていこう!
白い部分をスクレーパー で削る
スクレーパーで削った部分はギザギザが削れて、このように表面がツルツルになり光が反射しています。
インクを詰めて刷ってみる
それではインクを詰めて刷っていきます。
実際に刷ってみるとしっかりと削った部分は白くなっています。削り具合の力加減を調節して白い部分の強弱を出していきます。
こちらは削り具合の強弱を調整して彫ったものです。強弱を出すことで絵の中に奥行きが生まれています。
まとめ
メゾチントは銅版画の中でもエッチングの次によく使われると言っても過言ではない、とても基本的な技法なのでこの機会に挑戦してみてくださいね!
おまつが一生懸命目立てをしたから綺麗な黒色が出ているね!
えへへ、苦労した甲斐があったね。目立てを綺麗に出来ると、スクレーパーで削った部分がより綺麗に見えるね!
メゾチントはこの黒と白の対比がとっても綺麗な技法なんだよ。
よーし、次も頑張ろっと!