【銅版画の作り方 技法 その6】面で濃淡を出す!アクアチント(aquatint) で作ってみよう



アクアチントはどんな技法?



銅版を金属磨きで磨く
銅版を金属磨きで丁寧に磨きます。
用意するもの
・銅版
・金属磨き
・ウェス


磨くとこのように表面が綺麗になりました。

腐食しない部分をグランドで覆う
本日はこちらの作品を作っていきます。この絵の余白の部分をグランドで塗り潰していきます。
用意するもの
・液体グランド
・リグロイン
・銅版
・刷毛
・グランドを入れるお皿

このように白色にしたい外側だけをグランドで覆います。

裏から熱してグランドを乾かします。
松脂(まつやに)を銅版に散布する
グランドが乾いたら全体に松脂を撒いていきます。

熱して松脂を固着させる
均一に松脂を散布できたら裏からアルコールランプなどで熱して松脂を少し溶かし、銅版に固着させます。
熱すると、少し透明になります。
熱しすぎると、粒子の隙間がなくなり腐食されないので松脂の色が少し飴色に変わってきたなと思うぐらいが完成の合図です。

腐食液に浸けて腐食する
スピットバイトの時は腐食液で部分的に描画をしたのですが今回は腐食する部分が多いのと、面で均一に色をつけたいので、腐食をしない少ない部分をグランドで覆い、腐食液に漬け込みます。今回は少し薄めの黒にしたいので1分30秒程、漬けて色の濃さを確認します。


腐食する時間と色の濃さ

こちらの表は30秒から始まり1分、2分、3分、と1分ごとに刻まれ、後半は10分、20分、30分と10分ごとに腐食時間が増えています。それに伴い黒色の濃度が濃くなっているのが分かります。


アルコールで洗う
腐食した銅版を水で洗い、アルコールで松脂を落としてきます。
インクを詰めて刷る
こちらがインクを詰めたものです。このようにグランドでしっかりと周りを防食したので、グランドで覆われていない部分が腐食されインクが付きました。これでいよいよ刷っていきます。

面で綺麗な濃淡が!
刷ってみるとこのように綺麗に黒色が出ました。松脂の粒子が荒い部分は防食されていて少しまだらになっていてとても面白い表情が出たかなと思います。
先程の早見表と見比べると実際は1分30秒つけたのですがこちらの表だと2分の色味に近いのでほぼほぼ近い色味で仕上げることが出来ました。
まとめ
今回はアクアチントを使い面で濃淡をつけました。スピットバイトは部分的に濃淡の調整ができますが今回のように面全体に均一に濃淡をつけたい場合にはアクアチントを使ってみてください。もちろん、アクアチントと、スピットバイトの融合技でも面白いと思います。


次回はドライポイントで仕上げていきます!
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